「競輪の出走表を見たけど何が何だか分からない」
「何をどうやって予想すればいいのか…」
競輪初心者の方が、いきなり競輪の出走表を見ても、正直何が何だか分からないかと思います。どこを見て、何を基準に予想すればいいのか。これが最初にぶつかる壁でしょう。
競輪の予想には独特の流れがあります。その流れで重要になるのが「ライン」。このラインを知ることが競輪予想の第一歩かもしれません。
この記事では競輪予想の基本的な流れ、予想方法に関してまとめていきます。もちろん「ライン」の基本に関しても解説していきます。
何事もまずは基本が重要。この記事を読んで基本的な競輪予想の流れを知り、とにかく自分で競輪予想ができるようになりましょう。自分なりの予想スタンスや、穴狙いの予想などができるようになるのは、基本を知ってから。まずは予想の基本を知りましょう。
競輪予想基本の3ステップ
競輪の予想には基本的な流れがあります。まずは簡単にその流れの3ステップを紹介しておきましょう。
- ライン構成をチェックする
- ライン同士の力量を比較する
- 個人能力の比較をする
どんな競輪のレースでも、どんな競輪予想のベテランでも、基本的にはこの流れで予想を行っています。ではそれぞれの項目について解説していきましょう。
STEP01 ラインを確認する
※画像出典:KEIRIN.JP
まずはなにより「ライン」の確認です。競輪はレースの中で団体戦と個人戦が行われる特殊な競技です。この団体戦を行うのが「ライン」です。
競輪では出走する選手がいくつかのラインを組んでレースに挑みます。ラインとは2~4名ほどの選手が結成する即席のチームのようなもの。ラインの中でそれぞれの役割を果たしながらチーム全体がレース終盤の勝負所で好位置をキープできるように協力します。
ラインの組み方や詳細に関しては後に詳しく解説しますが、出走表でまずチェックするのがこのラインの構成です。どの選手とどの選手がラインを組むか、何本のラインでの戦いになるのかをチェックしましょう。
ラインの確認は、基本的に予想をするというより情報を得るというのが正解。競輪予想をしている出走表などには、必ずライン構成の予想が掲載されており、この予想はまず外れることはありません。
またレース直前(1つ前のレースが終了した直後)には、レースに出走する選手がバンクに登場する「選手紹介(顔見せ、脚見せなどとも呼ばれる)」でも最終的に確認が可能です。
STEP02 ラインの強さを比較する
競輪はまずはライン同士のチーム戦となりますので、何よりこのライン同士の強さの比較が重要になります。
ラインの強さを見るには、ラインに所属する選手全体の強さのバランスを見る必要があります。例えば3人で構成する2つのラインがあったとします。仮に1つのラインの選手の強さを120,80,80とします。もうひとつのライン3人の強さは全員90と仮定しましょう。
単純な足し算で考えると、実力120の選手がいるラインの合計は280、全員90のラインは合計270となり、強さ120の選手がいるラインの方が強さは上ということになります。
しかし、ライン内で実力に差がありすぎると、実力の劣る選手が強い選手の走りについていけず、チームとしての強さにつながりません。チーム戦であるライン同士の戦いにおいて重要なのは、それぞれの選手が自分の実力をしっかり発揮できるかどうか。その点で考えると、実力の近い選手同士がラインを組み、それぞれ全力で走れる方が強くなることが多々あります。
ラインの強さは強い選手がいるラインではなく、全員が同じようなレベルのラインに注目しましょう。
STEP03 個人の力量を比較する
ライン同士の比較を行い、一番強い、有利にレースを運べるラインが見つかったら、そのラインの中での選手の実力を比較していきます。
選手個人の実力比較の重要な目安となるのが「競走得点」です。競走得点とは、直近4ヶ月のレース成績から算出される数値であり、競走得点が高いほど直近4ヶ月で好成績を収めている選手ということになります。
選手個人には実績もありますが、重要なのは直近の成績です。いくら大レースを勝ったことがある選手でも、最近調子が悪い選手の競走得点は低くなりますし、まだ大レースの経験がない選手でも最近好調であれば競走得点は高くなります。
この競走得点とレースの流れを考えて、個人の力量を比較検討しましょう。
ラインの基本を知ろう
競輪予想においてもっとも重要になる「ライン」。このラインはどのように作られ、どのような役割を持つのか。このあたりについて解説していきましょう。
つながりの強い選手同士で結成
※画像出典:KEIRIN.JP「KEIRIN GUIDE」~ラインを読む~
ラインがどのようにできるのか。これは選手同士の繋がりの強さで決まります。基本的には上の画像の通り。同じ競輪場所属、同じ県の出身者、同じ地区、隣接地区という順に繋がりの強さは変化していきます。
※画像出典:KEIRIN.JP
競輪の出走表には必ず選手の出身県が掲載されています。この出身県がラインを組む際の参考になります。同じ県出身であれば当然ラインを組む可能性は高くなります。また、「地区」に関しては競輪独特の分け方がありますので注意が必要です。47都道府県の地区分けは以下の通りです。
地区名 | 都道府県 | 同地区内の競輪場 |
北日本 | 北海道・青森県・岩手県・秋田県・宮城県・山形県・福島県 | 函館/青森/いわき平 |
関東 | 茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・東京都・新潟県・長野県・山梨県 | 取手/宇都宮/前橋/大宮/西武園/京王閣/立川/弥彦 |
南関東 | 神奈川県・千葉県・静岡県 | 川崎/平塚/小田原/松戸/千葉/伊東/静岡 |
中部 | 愛知県・岐阜県・三重県・石川県・富山県 | 名古屋/豊橋/岐阜/大垣/松阪/四日市/富山 |
近畿 | 福井県・大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県・奈良県・滋賀県 | 福井/岸和田/向日町/和歌山/奈良/ |
中国 | 鳥取県・岡山県・島根県・広島県・山口県 | 玉野/広島/防府 |
四国 | 香川県・徳島県・愛媛県・高知県 | 高松/小松島/松山/高知 |
九州 | 福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県 | 小倉/久留米/武雄/佐世保/別府/熊本 |
北日本、中国、四国、九州に関してはイメージ通りで分かりやすいかと思います。一番の問題は「関東」と「南関東」でしょう。関東には新潟や長野、山梨といった甲信越が含まれます。南関東には「東海」のイメージが強い静岡が入っています。
近畿に関してはおおよそイメージ通りですが、気を付けたいのが福井県。北陸の一部として語られることが多い福井県ですが、競輪の地区分けでは近畿に含まれます。また、近畿のイメージがある方もいる三重は近畿ではなく愛知同様中部に含まれます。このあたりを勘違いしないようにしておきましょう。
こうして出身県や地区によってラインは組まれ、1つのレースで複数のラインができるのが一般的です。
★三分戦
1つのレース内で3つのラインに分かれて戦うケース。同じ三分戦でもラインの人数は「4・2・2」や「3・3・3」、「4・3・1」などいろいろなケースがあります。
★四分戦
同じく4つのラインで争うレースのことを指し、このケースでも人数構成はいろいろです。チームを組まず(組めず)単騎で出走する選手がいるケースなどで目立つ構成です。
★先行1車
「先行」という戦法を好む選手が1人しか出走しないレースでは、この先行の選手が先頭に立ち、ほかの選手がその後ろに続くという展開もあります。
ほかにもひとつのラインが長くなる二分戦などがあり、レースによってどのようなラインの争いになるかが。レース結果に大きく影響をします。
自力タイプと番手タイプ
※画像出典:KEIRIN.JP
そもそも競輪ではなぜラインが組まれるのか?これはラインで戦った方が自分にも有利になるからです。そしてラインの中にはそれぞれ役割があります。
単純に考えると、先頭を走る選手だけ空気抵抗を受けることになり、不利を被ると考えられますが、ラインを組む選手にはそれぞれ役目があり、先頭を走る選手もデメリットばかりではありません。
ラインを組む選手は大きく2つの役目に分けられ、先頭を走る選手が「自力タイプ(先行タイプ)」、2番手以降の選手を「番手タイプ」と呼びます。
自力タイプか番手タイプかの見分け方は、出走表にある「脚質」に注目。この脚質とタイプの関係性が以下の通りです。
- 脚質「逃」 → 自力タイプ
- 脚質「追」 → 番手タイプ
- 脚質「両」 → 自力・番手どちらも可能
脚質「両」の選手にも2パターンあり、出走選手の組み合わせ次第でどちらのタイプにもなるという選手と、かつては自力タイプだったが、最近は番手タイプに変わったというケースがあります。出走するレースでどちらになるかは、選手コメントや予想記事などで確認しましょう。
では、自力タイプ、番手タイプそれぞれの役割を見ていきましょう。
自力タイプの役目
※画像出典:KEIRIN.JP
自力タイプの選手は、まず自分のスタイルに合わせてラインの先頭でそのラインを引っ張る役目があります。
自力タイプの選手の中にも細かくタイプが分かれており、レース序盤から前方に位置し、そのまま逃げ切りたいタイプや、レース終盤一気に先頭を捲りたいタイプなどがいます。その自分のスタイルを貫くのが自力タイプの選手の役目です。
自分で風を受け先行するというデメリットはありますが、自分で好きなようにレースをメイクできるメリットもあります。
番手タイプの役目
※画像出典:KEIRIN.JP
番手タイプの選手は、自力タイプの選手を風よけに使い、レースの最後に抜け出すのを狙っています。これだけ聞くと良いとこ取りに聞こえますが、レース序盤、中盤は、先行する自力タイプの選手が走りやすいように、後方からかわしにくるほかのラインの選手をブロックしたり、あえて自力タイプの選手と番手選手の間隔をあけることで、後方からの捲りに備えたりします。
メリットは上記の通り、最後まで脚を温存できること、デメリットは自力タイプの選手次第で上位入線が難しいことなどが挙げられます。
また2番手・3番手の選手の並びに関しては基本的に格上の選手が番手、下の選手が三番手となります。
ラインの強さは総合力で判断
※画像出典:KEIRIN.JP
ラインの強さを比較する際は、そのラインを構成するメンバーの総合力で判断すると上でも書きましたが、さらに実際のレース予想をする際にはほかのポイントも考慮した総合力で判断する必要があります。
それがほかのラインとの力関係、およびレース展開です。ラインの先頭を引っ張る自力型の選手の中にもタイプがあります。これを出走表で確認するには「決まり手」の部分を確認しましょう。決まり手は4種類ありますが、自力タイプの選手の決まり手は「逃げ」か「捲り」です。
逃げが多い選手はできるだけ前でレースをしたい選手、捲りが多い選手は逃げの選手を後方で狙いながら、最後に捲りきりたい選手です。
こうした情報からレース全体の展開を考え、展開、個人の力量からラインの強さ比較を行いましょう。
団体戦から個人戦へ
競輪のレースは序盤は先頭誘導員がペースを作ります。先頭誘導員がいなくなってからはライン同士のチーム戦が本格化し、さらにライン同士の戦いがある程度決着するとそこからは個人戦です。
同じラインを組んでいた選手同士もライバル同士となり、自力タイプの選手はそのまま先頭をキープしようともがきますし、番手、三番手の選手はこの自力タイプの選手をかわすために必死になります。
さらにいえば、他ラインの選手も上位に入ろうと必死のスパートをかけますので、最後の1周、半周は個人戦のデッドヒートが繰り広げられます。この段階においてはラインは関係なくなり、選手個々の戦いとなりレースは決着に向かいます。
車券予想の基本
まずはライン同士が争い、最終的には個人同士の戦いになる競輪。では予想のスタンスはどうすればいいでしょうか。
ラインの構成を予想・確認し、ライン同士の力関係の比較も完了。ある程度レースの展開が予想できたらいよいよ購入する車券選びとなります。
スジ車券とスジ違い
競輪の狙い方には2つのパターンがあります。それが「スジ車券(モロスジ、ドスジともいう)」と「スジ違い」です。
スジ車券とは同じラインの選手同士で決着する車券のこと。1着が自力タイプ、2着が番手選手などの場合に用いられます。スジ違いは違うラインの選手同士で決着するケースで。Aラインの自力タイプの選手と、Bラインの番手選手などで決まるパターンです。
過去の決着、払い戻しを見ると、スジ車券とスジ違いの発生する割合はおよそ半々。ややスジ車券の方が出現確率が高いといわれています。
また、配当面で見るとスジ車券の方が配当が低い傾向にあり、スジ違いの方が荒れる傾向にあります。
まずはスジ車券を狙ってみよう
※画像出典:オッズパーク
上の画像は2022年2月9日、伊東温泉競輪の第1Rの予想です。このレースの結果は1着⑤番の伊藤選手、2着①番の房州選手で決まり、いわゆるスジ車券での決着でした(2車複 380円)。
競輪初心者の方は、まずは「スジ車券」にこだわって予想してみましょう。スジ車券が取れるということは、ライン同士の強さの比較がきっちりできていることの証明であり、スジ車券である程度の的中率を残せるようになれば、もう競輪中級者といえるようになります。
スジ違いでどのように組み合わせるべきか、どのような賭け式で購入するかなどは、以下の記事でも触れていますので、そちらを確認しつつ、そのレースにもっともあった狙い方を選べるようになりましょう。
競輪は初心者でも楽しめる!競輪の賭け式7種と当てるコツを紹介
競輪必勝法は存在するのか?初心者にもおすすめの賭け方・考え方
慣れたらスジ違いの穴車券も狙ってみよう
※画像出典:オッズパーク
こちらの画像は同じく2022年2月9日伊東温泉競輪の第2Rの予想。このレースは1着①番山崎選手、2着②番堀選手で決まり、別ラインの番手選手同士の決着。いわゆるスジ違いで決まりました(2車複 2,010円)
競輪初心者の方にスジ車券をおすすめしましたが、もちろんスジ違いを買ってはいけないという意味ではありません。スジ違いの車券を狙って当てるのはかなり難しく、ある程度競輪の予想に慣れてから出ないとおすすめできないというだけです。
スジ車券狙いでも、3連複や3連単ともなれば、当然相手にスジ違いの選手も入ってきます。このあたりは自由に、臨機応変に狙っていきましょう。
競輪初心者でまだ予想の仕方もよく把握できていないという段階であれば、まずはスジ車券を前提に予想するのがおすすめ。そして慣れてきたら混戦のレースなどで、あえてスジ違いを前提に予想してみるのも面白いでしょう。
まとめ
競輪の予想は基本的に3段階。ラインを知り、ラインを比較し、個人を比較する形になります。これらの情報に関しては、出走表や選手コメントなどにヒントも隠されていますので、しっかり情報収集を行って予想に挑みましょう。
競輪のレースの中には、比較的予想しやすいレースと、難しいレースがあります。競輪初心者で予想に自信がないという方は、まずは予想しやすそうなレースを確実に当てられるようにするのがおすすめです。
また、ここで紹介した予想の手順はあくまでも一般的なもの。競輪は非常に奥が深く、予想のスタンスにもいろいろなスタンスがあります。このあたりはいろいろなレースを予想する中で自然に身につく知識となりますので、まずは少しずつでも予想に参加するようにしましょう。